ここはFF COLECTION大陸、色々な国が隣接し共存しています。
 バロン王国、タイクーン王国、フィガロ王国、ミッドガル、エスタ国、アレクサンドリア王国、スピラ国それぞれお互い交流しあい生活していました。


完全異世界FFキャラ集合 パラレル・ギャグ小説 『結婚狂想曲』


 エスタ国の平原を一台のモンスターバイクが轟音を轟かして疾走している。
 操縦しているのは日に映える金髪と日に焼けにくいのか白い肌の男で、ゴーグルで瞳を隠しているが、かなり整った顔だちがうかがえる。
 モンスターバイクのすぐそばに一台のバギーが近寄ってきた。
 どうやら知り合いなのか、お互い視線を交わすだけだが争う事をせず、阿うんの呼吸で停止させる。
 バギーの男が車から降りてバイクの男に声をかけた。
「久しぶりじゃないか。」
「ああ。」
「なんだ、相変わらずだな。クラウド」

 バギーにのっていた男に名前を呼ばれて、クラウドはかけていたゴーグルをとった。不思議な色を帯びた青い少し大きな瞳は、強い意志をたたえていた。

「レオン…いや、スコールと呼ぶべきかな?何しに来た?」
 スコールと呼ばれた青年は茶色の髪に緑色の瞳、額に傷があるがそれすらも気にならないほどの顔だちは、クラウドといい勝負ではあるが、スコールが男性的な顔だちの美貌でクラウドは女性的な美しさを持っていた。
 スコールはクラウドの問いかけに答えた。
「いや、不審なバイクがエリアに入ってきたというので警備していただけだ。君だとは知らなかった。」
「ルーファウスの奴が通行許可を取ったとか言っていたが…」
 クラウドの独り言のような答えに、スコールは苦笑いをしながら答えた。
「ちょっとまってくれ。」

 スコールが携帯の端末を取り出して、何処かのデータベースにアクセスしている、しばらくすると顔を上げてクラウドを見て答えた。
「ミッドガルから通行許可が出てはいるが、二人となっている。」
「ああ、この先で落ち合う約束になっている。」
「わかった、ところでクラウド。お前、探していた人には会えたのか?」
「え?あ、ああ。」

 ほんの一瞬クラウドが頬を赤らめたが、それを見逃すようなスコールでは無い。すかさず突っ込んだ話をした。
「なんだ、好きな人を探していたのか。」
「関係ないだろ?」
「いや、ある。コロシアムで背中を預けた間柄だろ?お前の好きな人がどんな人か聞きたい物だな。」
 クラウドは苦虫を噛みつぶしたような顔をしてスコールを見た。
 腕っぷしの強さはよく知っている、爽やかに笑いながらも目が真剣なので、言わねば通さないつもりなのであろう。仕方なくクラウドは答えた。
「年上だ……。優しくて、強くて…、髪が長い。」

 クラウドの答えを聞いて、スコールの頭の中に一人の女性が浮かんだ、。茶色の巻き毛をリボンで束ねた少女は、たしか目の前の青年より1才年上で、びっくりするほど強い意志を持っていた。
「そうか、エアリスか。」
「そんな事どうでもいいじゃないか、待ち合わせの時間もうすぐなんだ!!」
 そう言うとクラウドはあわてバイクを吹かし走らせていった。その後ろにスコールのバギーがついてきていた。
 しばらく走ると目の前にメタリックシルバーの車が止まっていた。くさび形のボディの扉が上にはね上げられる、その車を知っているスコールが感嘆の言葉を口にした。
「ひゅう!!メルセデスのSLRマクラーレン!!」

 60万ギル(1ギル=100円相当)は軽くする車からゆったりと出てきたのは、車のボディと同じ髪の色をした長身の男だった。
 黄金比のような鋼のボディ、神がつくったとしか思えないほどの美貌、緑色を帯びたアイスブルーの瞳、黒革のコートに右手にもたれた身長ほどの刀、かもし出すオーラは離れていてもびりびりと感じられる。
 クラウドがバイクを止めて長身の男にかけよってはなしかけた。
「セフィロス、ごめん待った?!」
「いや、今着いた所だ」

 スコールはクラウドの態度の豹変に目を見張っていた。
 まるで子犬が尻尾を振って飼い主に擦り寄るかの如くの態度は、何度も一緒に戦ったりした時とは雲泥の差であったのである。

 スコールが一歩踏み出すと、まるで見えないバリアでも張ってあるかのように、体中にびりびりと感じるものがあった。

スコールはその男を知っていた。
 クラウドと一緒にコロシアムで戦ったりしたときにすれ違ったり、街を復興させようとするミッションを受けて赴任すると、その街の象徴である城の奥にある狭間で誰かを待っていた姿を見た事があった。
 不思議に思って話しかけたが、問答無用で切りかかられて、ほうほうの体で逃げ出した事があった。

 戦闘集団SEE-Dのリーダーで、伝説のSEE-Dと呼ばれているスコールが、何も反撃出来ないで逃げ出したというのは屈辱でしかなかった。
 その時立ちつくしていた男が、今クラウドの目の前にいる男であると、後から彼と一緒にいたティファやシド、ユフィ、エアリスに教えてもらった。
 思わずその男の名前をスコールはつぶやいていた。
「セ、セフィロス…。」

 セフィロスと呼ばれた男が名前を呼んだ男をちらりとのぞき見ると、その冷たい視線にスコールの背中がぞくりとする。
 しかし再びクラウドを向いたセフィロスは、スコールに向けた瞳とは全く違った砂糖菓子のような瞳をしていた。

「では、いくか?」
「うん、アレクサンドリアだったよね。」
「ああ、バイクで行くか?」
「うん。フェンリルをここに置いて行けないよ。」
「そうか、あまり先に行くなよ。」
「セフィこそ、俺を置いて行かないでね。」
「ああ、気をつけよう。」

 二人の男はそれぞれの移動手段に戻ると仲良く走り去って行った。
 スコールはまるで狐につままれたような顔をして、しばらくその場に立ちつくしていた。
 あまりスコールからの連絡が遅いので、ラグナロクが回収に来るまで、平原でスコールがぼーっとしたまま立っていた。ラグナロクからスピーカー経由でセルフィの声が聞こえる。

「こぉらぁ!!スコール班長!!任務の報告が無いから来て見たら、なにぼーーーっとして、つったてんねん?!」

 セルフィの声を聞いて、やっと事態を飲み込んだスコールが、バギーごとラグナロクに乗り込むと、赤い機体の奇妙な形の飛空挺は一路エスタ・シティーへと飛んで行くのであった。

 エスタ・シティーに到着すると、スコール達を黒髪の少女がエアポートへ出迎えていた。
ごく普通にみえるこの少女、実は魔女の力を継承していた。

「おっハロー、スコール。」
「…………。」
「班長、ラグナロクで拾った時からちょっとおかしいねん。」
「どうしちゃったのかな?」

 リノアが覗き込むようにスコールを見つめるが、スコールはぷいっと横を向いてさっさと一人何処かへ行ってしまった。

 エスタ国大統領府
 アーヴァインが通路を歩いていると、窓際にたたずむ男の姿が目に入った。
 見知っている男だったので近づいて声をかけようとして、思わずためらってしまうほどその男は窓の外をボーッとみつめていた。

「よお、スコール。どうしたんだよ、そんなところで。」
「…………。」
「なんだよ、誰かに振られたような顔をして。」

 アーヴァインの言葉にスコールが反応した、きつい目で睨まれてアーヴァインが思わず両手を上げる。
「あ、悪い。マジだったの?」
 スコールがぷいっと横を向き再び窓の外に目を向けた。
「お前を振るなんてどんな子だよ。」
「金髪碧眼の逞しいお姫様さ。」
「はあ?!なんだよその”逞しい”っていうのは!?」
「お前があいつに出会ったらきっとわかるさ。無愛想だけど笑うと可愛くて、惚れたと思った途端に恋人が現れてかっさらって行った。」

 スコールの話しを聞いたアーヴァインが、彼の肩をポンと叩くとその場を離れようとしてふと気がついた。

「スコール、おまえリノアちゃんとはどうなってるんだよ?!」
「リノアか、そういえばいたな。最近ずっと忘れていたよ。」
「おいおい、自分が彼女持ちだということを忘れるぐらいそいつに惚れちゃったのかよ、重傷だね。」
「ああ、ずいぶん重傷のようだ。」
 皮肉めいた笑みを浮かべてスコールはその場を後にした。


* * *



 その日の夕方になって、やっとセフィロスとクラウドはアレクサンドリアの城下町に到着した。
 街の外にそれぞれの愛車を停めて歩いて街に入ると、石畳にどことなく懐かしいような家並みの街が目の前に広がっていた。街を散策して歩くとクラウドが武器屋を見つけて店に入る。壁にバスターソードがかかっているのをクラウドが見つけて目を見開いた。
「あれ?これってザックスのバスターソードじゃん。何でこんな所にあるの?」
「あの山猿は自分の剣を何処にでも置いて行くようだなミッドガルに帰ったら叱ってやらねばならん。」
 クラウドは店の親父に声をかけた。
「おじさん!この剣ください。」
「そんな剣でいいのかい?」
「はい、このミスリルと交換出来ますか?」
「おつりがくるよ。ほら。」
 店の親父からバスターソードを受け取ると、クラウドは軽く振り回して背中に装備する。店の親父がびっくりしたような顔をしていた。
「ほー、お嬢ちゃんの細腕でこんな大きな剣を振り回せるとは思えなかった。」
 クラウドは店の親父をキッと睨みつけると、踵を返して店を出て行った。
 セフィロスがにやりと笑って店の親父に忠告した。
「親父、今度からはよくその人物を見て物を言うのだな。あいつは私を倒すことができる唯一の男だ。」

 店の親父が青い顔をしてぺこぺことあやまっていたが、先に行ったクラウドを追いかけるようにセフィロスもまた店を出た。
 クラウドはカンカンにおこっていた。
「も〜〜う!!なんでセフィロスと一緒に居ると、俺はお嬢ちゃんとしか呼ばれないんだよ?!」
「なんだ、奥様とでも呼ばれたいのか?」
「なっ!!」
「まあよい、それよりももう遅い。ガーネット陛下への閲見は明日にして、今日は宿に入るか?」
「うん、そうだね。あまり遅いと失礼だもんね。」

二人は広場に面した宿屋に入り部屋を取った。