一週間後、クラスA仲間が固まって何か話していた。
クラウドは何があったわからなかったのでとりあえず声をかけた。
「みんな、なに寄り会って話しているの?」
「ああ、俺達の連隊長がクラスSを抜けるらしい。」
「サー・ランスロットが?!何故?!」
「ハイデッカーの代わりに統括の椅子を押しつけられたって話しだ。」
「治安部統括が役に立っていなかったと言うのは本当だったらしいが、まさかサー・ランスロットが統括とはね。」
クラスAの会話にふとクラウドが首をかしげた。
「ハイデッカー統括ってそんなに役に立っていないのですか?」
「役に立っているも何も、自分の飾りにキングや連隊長達ソルジャーを欲しがるような男に、いつまでも統括を名乗ってほしくないね。」
「そりゃそうだけど、なぜキングじゃないんだ?」
「そりゃ決まっているだろ。キングはたしかに統括をこなせる実力を持つ。しかし彼がカンパニーの中に残ると…どうなる?」
「まだ反抗勢力やら強いモンスターも隠れているかもしれないからなぁ。」
「キングが第一線を退けば特務隊は当然クラウドが引き継ぐことになるだろう?」
「姫が派遣で出払っている時にあのキングが仕事出来ると思うか?」
「そりゃ無理だ!というか…治安部が冷凍庫になる!!」
クラスA仲間の会話にクラウドが思わず突っ込みを入れる。
「隊長はそんな人じゃありません!!」
「はぁ?御冗談を!!可愛い嫁の事が心配で心配で、神経ぴりぴりさせているんじゃないのか?」
「エドワードなんて何度キングにフリーズさせられているか知っているのか?お前の知らない所でリックに苛められているのをほくそ笑んでいたんだぞ。」
クラウドが思わず溜め息をつき、ゴードンに向き合った。
「ゴードン、そうなると第8師団を誰が率いるんだ?」
「俺もスティーブもまだ一個師団の指揮を取ったことは無いんだ。」
「このクラスから一人クラスSを排出しろと言われても無理だしなぁ。」
「そうなると一個師団をバラバラにして各師団に入れるしかないんじゃないのか?」
「第8師団はバランスが取れてるけど個々の兵士のデーターは結構ばらつきがあるからなぁ。」
クラウドの言葉にスティーブがうなずいた。
「ああ。それで今、何処に誰を入れるべきかみんなで悩んでいたところだ。」
「俺のところには要らないぞ、編入してすぐミッションで死んでもらっても困るもん。」
「特務隊にいけるような奴はもう行ってるって!」
「それで、何をみんな悩んでいるの?簡単だと思うんだけど?」
あっさりと言い切ったクラウドにクラスAソルジャー達の視線が集まった。
ブライアンがその答えの意味を悟った。
「もしかすると姫って、俺達クラスA全員の得意不得意が頭に入ってる…とか?」
「もちろん。特務隊の副隊長としてお前らと組む時に何が得意で何が不得意か覚えておかねばやってられないからね。」
「おお〜〜さすが姫。じゃあ協力してくれ。」
スティーブが第8師団所属の兵士のデーターを見せると、データーを見てすぐ答えが解ったのか、クラウドはすぐに答えた。
「みんなの名前で言うぞ。上からキース、ブライアン、エドワード、パーシー…。」
スティーブがクラウドの言う通りに名前の横にクラスAの仲間の名前を書き綴って行くと、軽く300人いる第8師団の一般兵が綺麗に別れていった。
そのリストを見てスティーブがうなずいた。
「なるほどなぁ、みんなそれぞれ適材適所だと思うぜ。」
「で、俺達士官はどうなるんだ?」
「ソルジャーはクラスSの意見が無いとどうしようも出来ないだろ?」
ソルジャーの赴任はクラスSの円卓会議で決まるのであった。
第8師団のソルジャーは14人。その14人は明日、直接クラスSの円卓会議に出る事になっていた。
クラウドが今朝クラスSソルジャーに言われた事を思い出した。
「そういえば、俺にも明日クラスSの会議に出席の要請が来ていたよ。」
「おまえが?!何故だ?!」
「姫が特務隊の副隊長だからかな?」
「サー・ランスロットからのご指名だったけど。」
「連帯長殿の?ご自分が抜けるくせに何を考えて見得るやら。」
「第8師団のソルジャー達のデーターは?」
「ああ、これだ」
ブライアンがクラウドに14人分のデーターを見せるとクラウドはそのデーターを一瞥して顔を曇らせた。
「残念だが特務隊に来れるような人は一人も居ないし、俺を呼ぶ理由もわからないよ。」
「そうだろうな。」
「まあ、明日になればわかるさ。」
スティーブとゴードンが先程の書類を元に一般兵の振り分け先を、部隊ごとに書きはじめる。
書き上がった書類をもって二人がサー・ランスロットの元へと歩いて行った。
「じゃあ、俺もあっちの仕事が有るから。」
クラウドが片手をあげてクラスA執務室を後にした。
窓の外には大振りの木が、ピンク色の小さな花を沢山付けはじめているのが見えた。間もなく自分が入隊して一年が経とうとしていた。
(一年で…色々な事があったな。)
特務隊に入って、セフィロスにであって…恋をして。
そのおかげでルーファウスやタークスの人たちに出合って、モデルをやらされて…
本当、あっという間だったなぁ……。
特務隊編入の都合でクラスSの皆さんにお会いして鍛えられて……。
セフィと……結婚して……。
鍛えられたおかげで結構強くなって、ソルジャー扱いになって仲間が増えて……。
セフィロスの隣に立てるようになれた。
皆にはしばらく誤魔化せていたけれど、それでもみんなにセフィとの関係がバレちゃって……。
それでも変わらず接してくれている。
俺、案外今が一番幸せなのかもしれないな。
そんな事を思いながらクラウドは特務隊の執務室へと歩いて行った。
The End
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