FF ニ次小説
FF 7 二次小説  − 綺麗な花には… −
 


 神羅カンパニー本社ビル67Fの一室に英雄セフィロスの執務室がある。
 その執務室には英雄の右腕といわれている1stソルジャーのザックスと、ザックスと同室だったがゆえに引きずり込まれ、その才能を認められたのか、それとも容姿を気に入られたのかは不明だが秘書官として金髪碧眼の訓練生、クラウド・ストライフがいつも詰めていた。

 その日の任務を終えて執務室に戻ってきたクラウドが、テーブルの上に置いてあった箱を見付けてセフィロスを呼んだ。

「サー・セフィロス、何か来ているようですが。」
「何だ?」

 クラウドは箱を開けはじめた。

「え〜っと…あれ?変わったマテリアだな。」
「マテリア?どんな奴だ。」
「これです。ピンク色のマテリアなんて始めて見ましたよ。」

 クラウドの手の中にはピンク色に輝くマテリアが怪しく光っていた。
 セフィロスはクラウドの横に置いてあった箱を手に取り、あちこち調べている。

「ともかくこちらに渡しなさい。」
「アイ・サー」

 クラウドがマテリアをセフィロスに手渡そうとした時、強大な英雄の魔力に反応したのか、マテリアがいきなり発動した。

 ピンク色の晄がクラウドを包みこみ、しばらくして晄が消えた。

 セフィロスがいぶかしげに手のひらに有るマテリアを見るが、すでにマテリアからは力が伝わってこなくなっていた。
 するとクラウドが急に身体をまさぐっていた。

「え…あ…うそ……」

 クラウドがいつもとはちょっと違うハイトーン・ボイスで、独り言をつぶやいている。

「どうしたのだ?」
「お、俺の身体が…へんになっちゃった。」
「はぁ?!」

 クラウドが真っ赤になりながらセフィロスの手を自分の胸に当てると、そこには信じられない感触の物が存在感を主張していた。
 セフィロスがびっくりしてくラウドに聞いた。
「お…おまえ、女だったのか?!」
「違います!!今のマテリアで…どうも変身しちゃったみたいなんです。」

 言われてクラウドが女性化してしまった場合の悪影響をセフィロスが色々と考えた。

 一般兵であるクラウドは通常勤務の間に強化訓練も入っている、その際集団でシャワーを浴びたり着替えたりせねばならない。
 しかも寮で生活しているうえに寮は相部屋だった、その相棒が女と来たら誰彼かまわず口説きまくると有名な自分の副官だった。

「おまえ、その姿でザックスを欺きとおせるか?」
「え?あ…あ、無理です。」
「仕方がない、しばらく私の部屋に居るとよい。強化訓練も特別勤務と言うことで誤魔化せるだろう。しかし、一体どういうことだ?」

 そこまでつぶやいた時に執務室のテーブルの上に有る電話が鳴り響いた、ディスプレイに現れた番号は自分を体のいい実験道具としか見ていない神羅カンパニーのマッドサイエンティスト 宝条のオフィスの番号だった。

「貴様か。」
「クワックワックワッ…どうだね?女になった気分は。」
「残念ながら私ではなく秘書官が変化した。」
「ほぉ…あの可愛い子ちゃんか。それはきっとかなりな美少女になっただろうな。クワックワックワッ…まあ2〜3日も経てば自然と戻る、クワックワックワッ…」

 宝条は言うだけ言ったら一方的に電話を切った、切れた電話を思いっきりにらみつけてセフィロスがクラウドを振り返ると青い瞳に涙を浮かべながら必死になって何かに耐えているような素振りをしていた。

「どうした?」

「そのマテリアはもう発動出来ないのですか?エスナとか万能薬で戻らないのでしょうか?」

 言われてセフィロスがもう一度ピンク色のマテリアをもちあげて念じて見る。
 しかしピンク色のマテリアからはもう力を感じなかった。次に治療のマテリアを取り出してクラウドにエスナをかける。しかしクラウドは首を振った。万能薬を飲ませても反応は一緒だった。

「お…俺、このまま一生女のままなんでしょうか?」
「いや、宝条が言うには2〜3日もしたら元に戻るそうだ。」
「ほ!本当ですか?!」
「とりあえずその格好ではまずいな、行くぞ。」
「アイ・サー!!」

 二人は執務室を出て寮の部屋に行くと、クラウドはタンクトップとホットパンツを引っ張り出して制服から着替えた。セフィロスはなんとかカンパニーの外へと連れ出すことに成功し、クラウドの容姿をごまかす為にショッピングモールへと出かける。
 女性でも紳士用ボクサーパンツを履いている人もいるので、店員も不思議な顔をせずに対応してくれる。
 さわさわした手ざわりのワンピースに着替え、髪の色とあまり変わらないエクステンションをピンクのカチューシャで止める。
 そこには飛びっきりの美少女が立っていた。

「うわ〜〜〜、綺麗…さすがサー・セフィロスの選んだ女性ですね。」

 何を勘違いしたのかクラウドをセフィロスの恋人と思っているらしい、セフィロスは悪い気はしなかったがクラウドがむくれたようである。セフィロスがカードで代金を支払っているうちに勝手に外に出てしまっていた。

「なんだよ、もう。サーったらきちんと訂正してくれればいいのに。」

 ぶうぶう文句言いながらミッドガルのダウンタウンを一人でさっさか歩いていた。すると可愛い子チャン目当てのナンパ野郎がぞろぞろと出てきた。

「へ〜〜え、君。可愛いね、俺達と遊ばない?」
「いい思いさせてやるからさぁ。」
「おっと、逃げようったって無駄だぜ。」

 すっかり取り囲まれた所に後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「その子を離してやれ!!」

 クラウドを囲んでいた男共が振り返るとザックスが立っていた。思わず名前を呼びそうになってハッと気がつく。

(だ、だめじゃん!!名前なんて呼んだら俺ってばれちゃう!!)

 ザックスはクラウドを囲んでいた男共をあっさりと気絶させると、目の前にいるメチャクチャ可愛い女の子をさっそく口説きはじめた。

「俺、ザックス。ね〜、君何て名前?」
「え?あ…あの…その…」

 クラウドが困り果てている時にセフィロスが姿を現した。

「そんなところにいたのか、探したぞ。」
「あ…サ、サー!」

 あわててセフィロスの後ろに隠れるようにクラウドがザックスから身体を隠す。
 ザックスはその様子を見て目の前の可愛い子が、セフィロスの知り合いである事にびっくりする。

「な?!彼女セフィロスの知り合いなの?俺に紹介してよ。」
「ダメだ、お前には紹介出来ない。」

 ザックスはセフィロスの人となりをよく知っていた、今まで付き合っていた女は数知れないうえにお金持ちで後腐れのない年上の女が多かったはずだった。
 しかし目の前の少女はどう見ても自分より年下、そんなに年若な女と付き合った事など過去に無かったはずだった。

「へぇ〜、めずらしい。いったいどうしちゃったの?」
「どうしたもこうしたも無い。ともかくこの子はもらって行く。」

 そういうと金髪碧眼の美少女を隠すように連れて何処かへ行ってしまった、一人ぽつんと取り残されたザックスはボソッとつぶやいた。

「ずえ〜〜ったいあの子を俺の彼女にしてみせる!!」   無理!!

 一方、セフィロスのマンションにたどり着いたクラウドは自分の姿を見て思わず情けなくなっていた。
「…はぁ…俺、いつまでこんな事やってなきゃいけないんだろう??」

 フリルのエプロンを着けてせっせと御料理を作っていたりするクラウドちゃん、誰の趣味かはしらないけれど履いているスリッパには丸みのある猫の絵柄は耳に赤いリボンなんて付けちゃっていたりします。
 ちなみにエプロンも同じ模様のアップリケがついていてメチャクチャラブリー。
 リビングでクラウドをそれとなく眺めているセフィロスは、思わず目じりが下がっていたりします。

 そこへチャイムと共にどやどやと入ってくる男共、先頭をきって現れた男は金髪をオールバックにして白いスーツを着ています。
 その男にどこかで見た覚えがあるクラウドはキッチンから出ようとしませんでした。
 白いスーツを着た男の後ろからは黒いスーツを着て黒髪を腰までなびかせています。

(げ!!まさかタークス?!と、言うことは、あの白いスーツは社長のルーファウス!!)

 ルーファウスはセフィロスが部屋に居る事を知っていて、なにかと言いがかりでも付けてやろうとやってきたのでした。

「やぁ、英雄殿。こんな所でなにをされてみえるのかな?」
「ふん、執務が暇なうちに身体を休めておこうと思っていただけだ。」
「おや、貴方ともあろう方が疲れる事などあるのですかね。」
「煩い、何も用がなければ出て行け!!」

 二人のやりとりをよそにツォンがいい匂いのするキッチンに目を向ける。
 そこには目の覚めるような美少女がフリフリの可愛いエプロンを着けて、かいがいしく御料理を作っていたのであった。

「サ、サー・セフィロス あの美少女は?」

 ツォンの言葉にルーファウスがキッチンに目を向けた、とたんに真っ赤になって固まっている。

「セ、セフィロス、あの子を譲ってくれ!!金ならいくらでもだす!!」

 クラウドはルーファウスの言葉にカチンときたが、ここで言い返したらバレてしまうと思いセフィロスの影に隠れるようにした。
 ルーファウスはそれがまた気に食わないようだった。

「女に不自由しないセフィロスよりも私のところに来い。お前に悪い思いをさせない。」

 そこまで言われても行けないものは行けない、クラウドはセフィロスの腕の影から黙って首を振った。