目的のモンスターにエンカウンとしたセフィロスは一歩も動きません。 
 クラウドが首をかしげていると、セフィロスがにやりと笑いながら説明を始める。
  
「こいつはな、コチラから攻撃をしかけなければ攻撃してこない奴だ、だからアラームとかいう奴を盗みまくればよい。」 
「盗むのマテリアなんて装備していないよ。」 
「お前のスピードなら普通にやっても盗めるだろう?」 
「結局俺かよ?!」
  
 とか何とかクラウドは不平を言ってはいるけど、そのまえにスピードが有ると誉められているのでby クラウド視点ちゃっかりとサーチャー相手にアラームを盗みまくります。 
 あっという間に255個盗むと二人は巨人兵の像を後にしました。
  
 次の目的地を知らないセフィロスがクラウドに訪ねます。 
「次の目的地は?」 
「えっと、たしかこの書類で飛空挺を借りて月の裏側の地底城だって。」 
「月だと?」 
「そこでプリンプリンセスって言うモンスターの落すピンクの尻尾がいるんだ。」 
「なるほど、しかし月か。」 
「シドが喜びそうだよね。」 
 セフィロスがクラウドの肩を抱きながら書類にあった場所に移動すると、眼鏡をかけた技術屋候の男が飛空挺らしきものの前に立っていた。 
 クラウドが眼鏡の男に声をかけた。 
「すみません、バロン王国皇后陛下の紹介でこちらに来たのですが。」 
「なんだ?ローザの紹介か?」
  
 眼鏡の男がクラウドの持っている書類を読むと顔色を変えた。
  
「あ、あんた達月地下帝国へと行く気かい?!辞めといたほうがいい、あそこにはそれは強いモンスターがいるぞ。」 
「ほお?それは楽しそうなピクニックになりそうだな。」 
「セフィロス、そんな事言いとこの人びっくりするだけだよ。」
  
 顔色一つ買えずに平然としているセフィロスを眼鏡の男が口をぽかんと開けて見ていた。 
「ほお。お前さん、相当腕に自信が有ると見た。よかろう、ならば連れて行ってやろう。」
  
 そう言うとすぐ近くの小屋へとはいって行った。 
 小屋の中には地下に降りる階段が続いていた、階段を何段も降りていくと広い空間に変わった形の飛空挺が置いてあった。 
 その不思議な形に思わずクラウドが問いかけた。 
「え?ドリルって、これ飛空挺なんでしょ?」 
「そうとも、このシドの開発した地下、大気圏内、大気圏外、何処でも飛べる飛空挺じゃ。」 
「え?おじさんシドっていうの?じゃあシド・ハイウィンドって男知ってる?」 
「おお、知っておるわい。わしの爺さんの末の弟の孫じゃて。そういえばスピラにわしのいとこがいるぞ。」
  
 どうやらこの世界のシドは一族のようであった。 
 そしてすべてのシド一族に共通しているのは飛空挺の技師であるという事である。まあ、中には学園の園長という男もいたが…。 
 そのシドの飛空挺で月の裏側まで一気につれて行ってもらい、そびえる城の中に足を踏み入れた。 
 シドが誰も居ない空間で大きな声を出した。 
「おーい、ゴルベーザ!フースーヤ いるか?!」
  
 シドの呼びかけにそれまでまったく人の気配の無かったフロアにいきなり2人の人影が現れる。シドが現れた二人を紹介してくれた。
  
「白髪のハゲた爺さんがフースーヤといってこの世界の主だな。となりの男はゴルベーザと言ってセシルの兄貴だ。」 
「はじめまして」
  
 ぺこりとおじぎをするクラウドと、対照的に軽く目礼をするセフィロスにゴルベーザは自分と似たようなな物を感じ取った。
  
「他人とは思えぬが?」 
「さあな。」
  
 意味深につぶやくセフィロスもゴルベーザ同様、相手に自分と似たところが有るのを感じ取っていた。
  
 その間クラウドはフースーヤと呼ばれた年寄りにいきさつを説明していた。理由が解ったフースーヤはゴルベーザに二人を地下宮殿へと案内するように命じた。 
 ゴルベーザは言われた通り二人を地下宮殿へと案内する。目的の入り口にたどり着くとクラウドが大量のアラームを確認していた。 
 アラームを鳴らすとモンスターが出てくるのを知っているゴルベーザは、二人が何をやりたいのかやっと解った。
  
「プリンプリンセスはなかなか出てこないぞ。」 
「え?じゃあどうすればいいんだよ」 
「プリンプリンセスはモンスターとはいえ性別は女だ。お前のような可愛い男が行けば喜んで出てくるさ。」
  
 ゴルベーザの”可愛い”の一言にクラウドがぶち切れた。いきなりキツい目で睨みつけたかと思うとするりと腰にはいでいた剣を取り出し、不敵な笑みを浮かべて剣をゴルベーザに向けている。
  
「貴様、一度死にたいらしいな。」 
「おや?私は君に殺されるような覚えは無いぞ。」 
「お前は俺を怒らせた、それだけで十分だ。」 
「可愛いと言われて怒るようではマダマダだな。よほど何処かの男に”可愛い”と言われまくっていると見える。」
  
 ゴルベーザの意味深な笑みがクラウドの怒りを更に激しいものとしていた。今にでも切りかかってきそうな雰囲気のクラウドを諌めたのはセフィロスだった。 
 すっとクラウドの頬から顎にかけてのラインを右手で撫でると、彼の怒りのオーラが一瞬にして消えた。 
 セフィロスがゴルベーザに話しかけた。 
「しつけが悪くてすまないな。」 
「いや、実際可愛いからな。つい苛めたくなる。」 
 セフィロスは無言でゴルベーザを睨みつけていた。 
 クラウドが怒り心頭でセフィロスのコートの裾を握り締めると、靴音を高だかと鳴らしながら地底への道へと進みはじめた。
  
「あ〜!!もう、さっさと行くぞ!!」 
「クックック、そうか、そんなに指輪が欲しかったのか。」 
「な!!誰が指輪なんか!!」 
「そう照れるな。永遠の証が欲しいのであればいくらでもくれてやるぞ。」 
「遠慮しておく」 
「クックック、証など要らぬか、それもよかろう。お前が私を追い求めるのは既に決められた事だからな。」
  
 クラウドがため息をついて飛空挺の方へ戻ろうとするのをみたゴルベーザが、にやりと笑うが、セフィロスは澄ました顔をしてクラウドに話しかけた。
  
「おまえはこのミッションを途中で放棄す気か?それではいつまでたってもソルジャーにはなれないぞ。」 
「……………。」
  
 セフィロスの一言でうらめしそうな顔をしたクラウドが戻ってくる。二人の横を素通りするとさっさと地下へと続く道を降りて行った。
  
「なるほどねぇ、次に可愛い子に会ったらその手を使わせてもらうよ。」 
「ふん、貴様にできるかな?」 
「とりあえず弟相手に試して見るよ。」
  
 ゴルベーザが片手を上げるのを視野の端で捕らえながら、セフィロスはクラウドの後を追い書けた。 
 クラウドはすでにB5にある目的の部屋に到着していた。 
 これまでにいくつか宝箱のある部屋や階段、扉のある部屋を通ってきたが、この部屋だけはなにもないのである。 
 しんと静まり返った部屋は無気味で、クラウドは腰のアルテマウェポンをいつでも抜く体制に持って行っていた。 
 上の階からセフィロスが降りてきているのを感じていたが、まだ自分のいる場所には来ないであろうと思っていた時、いきなり彼が姿を現わした。
  
「セフィロス。」 
「どうやらまだ出てこないようだな。」
  
 いつもの様にセフィロスはクラウドの頭にポンと手を置くと、そのハニーブロンドをわしゃわしゃとなでつける。 
 するとクラウドが上目使いになり唇をつんととがらせる。まるでキスを強請るかのようなクラウドの仕草にセフィロスが誘われるように唇を重ねた。
  
     その時
  
 いきなりピンク色のハートマークを飛ばしながらモンスターが飛び出して来た。 
 甲高い声とその容姿から目的のプリンプリンセスと思われる。
  
「きゃ〜〜〜!!こんな所でいい男と可愛い男の子のラブシーンが見られるとは思わなかったわ〜〜!!」 
「ちょっと、しっかりと見るのよ〜〜!!」 
”あえて言おう、このプリンプリンセスは貴腐人だったのだ!”
  
 とにもかくにも「アラーム」でしか呼び出せないはずのレアモンスターが目の前にうじゃうじゃといる。 
 クラウドはその”好奇心丸だし”の態度におののき、思わずセフィロスにすがりつくと更にプリンプリンセスの声が甲高くなる。そんな状況にセフィロスが意味深な笑みを浮かべた。 
 プリンプリンセスが大量にいると言うのにクラウドの耳から首筋にかけて唇を落しはじめたのである。 
 もうプリンプリンセス達は狂喜乱舞!キャーキャーとハートマーク飛ばしまくって喜んでいる。クラウドの首もとをはだけさせ鎖骨にキスマークを残した所でセフィロスがプリンプリンセス達に向かって振り向いた。
  
「貴様等にクラウドの艶やかな声など聞かせたくは無いが、ピンクの尻尾とやらをくれるのであれば考えなくもないぞ。」
  
 何の為にアラーム盗みまくったんだよ〜〜〜!!!とツッコミをいれてくれ★!しかしプリンプリンセス達はこぞってピンクの尻尾を差し出した。 
 しっかりとポケットにピンクの尻尾を入れてから、クラウドの性感帯である耳を甘噛みすると男とは思えないほど甘い声をあげた。
  
「あ……ん、いやっ……んっ!……はぁ……っん!」
  
 ほんのりとピンク色に染まった頬、潤みきった青い瞳、このまま押し倒してしまおうかと思うが、流石にこんな所で押し倒したら後が恐い。 
 クラウドがトロトロに蕩けきって一人で歩けないほどまで愛撫を施し、さっとお姫様抱っこで抱き上げたセフィロスが、もう一度プリンプリンセスに振り向く。
  
「これ以上やるとこの男は怒るからな。」
  
 プリンプリンセス達が全員ぶんぶんと首を縦に振ると軽やかに手を振りながらセフィロス達が去って行くのを見送ってくれた。
  
 地底城からあっという間に戻ってきた二人にシドがびっくりしていた。 
「なんでぇ、お前さん達そんなに腕の良い戦士だったのか。」 
「クックック、こんなに沢山集まったぞ。」
  
 セフィロスがポケットから出したピンクの尻尾は10本以上あった。 
 真っ赤な顔をしてうつむくクラウドと冷静なままのセフィロスを見比べてシドが目を丸くする。
  
「今度はアダマン島とか言っていたな。」 
「おう、その後は地下世界だ。まあ、あっという間に済む。すぐ行くか?」 
「そうしてもらおうか、タイクーン王国にもいかねばならないのでな。」 
「おう、じゃあ行くぜ。」
  
 シドは二人を飛空挺にのせて一路バロン王国のアダマン島を目指した。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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