太陽が眩しいほど輝く砂浜にボールが舞い踊る、そのボールを追いかけて青年達が走っていた。
 ボールがそれて遠くへと転がって行くと青年の中から一人がボールを取りに走ってくる。
 そのボールを足で止めてくれた青年にティーダは見覚えがあったので声をかけた。

「あれ?!クラウドにセフィロスじゃないっすか?!いったいどうしたんっす?」
「やあ、久しぶり。ここにユウナ君がいたと思ったけど。」
「ユウナッすか?ええ、いますよ。すいませーん!俺ちょっと抜けます!」
 ボールを仲間たちに投げ渡すと二人の前に立って村の方へとあるき出した、その後ろからセフィロスとクラウドがゆっくり歩き出した。

    ほぼ同時刻

 ビサイド村の遺跡のある入り口に二人の男が立っていた。
 悠然と歩く男を見て村人が”エボンの礼”をする。

 聖ベベル宮の大僧正でグアド族の族長 シーモア・グアドと、元召喚士でエボンの教えに忠実な男イサールであった。
 シーモアはゆっくりと村の中に入っていくと正面からティーダが現れた。
 シーモアを嫌っているティーダが思いっきり睨みつけながら話しかけた。
「シーモア、何しに来た?!」
「ユウナ殿に外国のお客様が見えたとお聞きして会いに参った。」
「はん!どうなんだか。」

 ティ−ダが首を振って疑っているとそこへクラウドとセフィロスが到着した。
 二人の目の前でティーダと見知らぬ男が言い争っていた。

(ツ、ツインテール)       < あう!★(T。T)その言い方ヤメて!

 とにかく独特の髪型をしている上半身ほぼ裸の男がそこに立っていた。
 ティーダの後ろに見知らぬ男が立っているのを認めたシーモアが優雅に一礼して自己紹介をした。

「ようこそスピラへ、私はシーモア・グアド。聖ベベル宮の僧侶でございます。」

 エボンの礼をしながら顔を上げ来訪者をじっと見つめると、どうみても”ど真ん中のストライク”いやいや”はっきり言って好み”、ちょっと跳ねているが明るい金髪にこぼれんばかりの青い瞳、桜色の唇、ほのかにバラ色の頬、どこからどうみても正真正銘の美女が立っていた。
 しかしクラウド達はすでにシーモアの事をユウナとティーダから聞かされていた。

       横恋慕するのが大好きで野心家でしつこい。

 そんな男が可愛いクラウドに横恋慕しない訳がないとセフィロスが用心深く探りを入れる。
「シーモアとか言ったな。貴様に用は無い。」
「貴方に用は無くとも私には有ります、お連れ様のお名前を教えて下さい。」
「あんたに教えてどうなると言うんだ?」
「恋人になるには名前を知る事から始めねば、な。」
 セフィロスはクラウドの頬をするりと撫でると苦々しげな笑みを浮かべた。
「クックック、お前は本当によくもてるな。」
「ティーダ、こいつ何とかならないの?」
「う〜〜ん、無理っすかね。こいつのしつこさは並じゃないっすから。」
「クラウド君がハッキリ態度に出せばいい事じゃない。」
「俺?え、あ…そ、その。俺、もう決まった人が居るし。その人と式挙げるんで、その衣装とかここにいいのがあるって聞いたんだけど。」
 クラウドがしどろもどろに言った言葉にティーダが敏感に反応した。
「お?!結婚するんですか?!ティファさんッすか?」
「いや、ティファじゃない」
「じゃあ、エアリスさん?」
「エアリスには彼氏が別にいるし。」
「え?!じゃあ誰なんですか?」

 全員がクラウドに注目していた。
 クラウドはおずおずと隣にいるセフィロスの腕の影にかくれながら、真っ赤な顔をしてうつ向きがちにこたえた。

「セ、セフィロス。」

 ティーダとユウナが一瞬目を丸くしたが思わずうなづいた。シーモアはそのまま固まっている、シーモアに付き従っていたイサールがいきなり怒鳴りはじめた。

「き、君たちは!!シーモア様を愚弄するつもりか?!」
「愚弄?さて、何の事だか。」
「愚弄も何も相思相愛の恋人の間に割り込む悪い癖を直さないと、エボンの大僧正どころかグアドの老師としても失格だわ。」
「ユ、ユウナ。びっくりしないんっすか?!」
「別に、以前モノポリー大会であった時そんな気がしたし、そのあと例の城の広場で再会して駆け落ちしたって聞いたわ。」
「はぁ、そういえばセルフィーがそんな事言ってたなぁ。」

 ユウナの言葉に納得しながらティーダが頭を掻いた。
 クラウドに振り向いたユウナがスピラ国来訪の目的であるドレスの事を聞いた。
「挙式に使う衣装だったわね?私の使った奴は?」
「クラウドの太ももが見えるのはいいが、お前は”偽りの花嫁”だったのであろう?」
「ええ、誰かさんのおかげでね。でもダマルスカのアーシェ女王よりマシよ。彼女は結婚してすぐご主人に戦死されてバツイチだもの。」
「そ、それもなんだかなぁ。」
 セフィロスの言葉の意味を悟ってティーダがクラウドに訪ねた。
「え?クラウドさんドレス着るんっすか?」
「それもティファさんに教えてもらったわ。ほら、ティーダ見てコレ。この美人クラウドさんなんですって。」

 ユウナはティーダに一枚の写真を見せてた、赤紫色の艶やかなドレスにダイヤのティアラ、金髪の付け毛は綺麗にセットされていて何処からどう見ても正真正銘の淑女、間違っても男にはみえない。

「うっわ〜〜〜すっげーー!!」
「こ、これは…なかなか。」
 目を丸くしてびっくりするティーダのとなりからイサールが覗き込んでにんまりとする。クラウドは首をがっくり落し半ば泣きそうになっていた。

「ティ、ティファの奴〜〜!」
「クックック、お前のドレス姿は美しいな。」
「こんなに美人さんだから張り切っていいドレスをみつけないと、ね!」

 ユウナが明るく笑った時上空を見慣れた飛空挺が横切った、ティーダがその飛空挺を知っていた。
「あれはファルコン?!」
 飛空挺が近くの空き地に着陸し、中から二人の男が飛び出して来た。

「ハニー!!フィガロに来てくれていたんだったら、なぜ俺の所に顔を見せてくれなかったんだい?!」
 飛空挺から飛び出してきた男を見てクラウドが脅えた。
「エ、エドガー?!」
「誰ですか?あの品のない男は。」
「貴様がそう言う事を言うか!」
 ティーダがシーモアに突っ込みを入れる。
 エドガーの後ろにセッツァーも一緒にいたので、脅えるクラウドを小脇に抱えセフィロスが正宗を抜いていた。
「クックック、誰がハニーだと?貴様、我が妻を侮辱するつもりか?!」
「誰が誰の妻だって?!」
「クラウドは私の妻だ!」
「セリスに聞いたぞ、まだ式すら挙げていないと言うではないか!」
「な、なんだか凄い事になってきたっす。」

 セッツァーとエドガー、セフィロスがいがみ合っているが、当のクラウドはセフィロスにしっかりとしがみついている。
 セフィロスはそんなクラウドの腰を抱き込んで、正宗をエドガーにつき付けていた。

「こいつが望まない限りお前らには渡さぬ!」
 そう言うとクラウドを抱えて上空にジャンプした。
 重力無視でふわりと飛び上がり、その場にいた全員を飛び越えるついでに、ユウナをひょいと引っ張りあげる。
 軽々と浮き上がったユウナをふわりと地上に降ろし、自分達も着地するとセフィロスは彼女に聞いた。

「ユウナとやら、ドレスはどこで手に入れたのだ?」
「マカラーニャの森の外れで店を出しているオオアカ屋っす。」
「マカラーニャだね。」

 クラウドがユウナの言葉を反芻したその瞬間、クラウドとセフィロスの姿が消えた。その場にいた男共がびっくりする。
「ハニ〜〜?!どこいっちゃったんだよ〜〜?!」
「バニッシュか?」
「なんだ?そのバニッシュとやらは。」
「ルーラじゃないんっすか?」

        待て、ティーダ!それはDQの移動魔法呪文だぞ!
 などと残された連中が会話をしているうちに、デジョンで移動したセフィロスとクラウドは、シエラ号のシドにマカラーニャの森の外れまで送ってもらい、森の端に有るオオアカ屋という店までたどりついていた。
 店の中にはやたら威勢の良いオヤジと、その親父に気圧されまくっている弟がいた。

「いらっしゃい! オオアカ屋、よろしく!」
「いらっしゃい!」
「ユウナという女性からココでドレスを買ったと聞いたが、なんだか怪しいな。」
「ユウナ様のお知りあいの方ですか?」
「ユウナ様のドレスはワシが仕入れました。」
「こんな何も無いような店が?」

 クラウドが店を見渡すが確かに何も無い、しかしオヤジはにやりと笑って言い切った。
「仕入れろと言われるとなんでも仕入れますぜ。」
「では正統派のウェディングドレスを10分以内に探せ。」
「そ、そんな。」
「燃えるねぇ、そういう注文には。待ってな!」

 そう言うとオオアカ屋はありとあらゆるネットワークを駆使して、しばらくの間注文の品物を探しまくっていた。
 8分後、電話を切って顔を上げたオオアカ屋がにやりと笑った。

「見つけたぜ。10分待っててくれるか?持ってきてくれるそうだ。」
 そして10分後にオオアカ屋に現れたのは、どことなくスキのない男だった。

「よお、リン。持ってきてくれたか?」
「ああ、しかしこんなものどうする気だ?」
「こちらのお客人が欲しいとおっしゃるのでな。悪いが口利き料はいただくぜ。」
「しっかりしているな。」

 そう言ってリンはトランクを開けると中から真っ白なドレスが出てきた。
 クラウドが取り上げるとオオアカ屋もリンもびっくりする。

「これは、参った!お兄ちゃんじゃ無かったのか。」
「美しい奥様ですね、実に羨ましい。」
「クックック、良くにあっているな。」
「ドレスが似合うといわれたくないね。」

 拗ねたような顔をするクラウドは、実に可愛らしいのであるが、これ以上怒らせると腕が確かなだけ恐いものがある、セフィロスは黙ってそのドレスを見ていたのであった。
 ドレスをトランクに戻すと、セフィロスがカードで購入する、店の外に出るとシエラ号までトランク掲げて歩く。シエラ号に乗り込んでエスタ国へ行こうとしていると、正面からファルコン号が飛んできた。

「全速前進!!振り切るぞ!!」
 シドの声に反応して、シエラ号がフルパワーで飛びはじめると、ファルコン号も全速で追いかけてきた。
 2機の飛空挺がスピード勝負を繰り広げているうちに、エスタ国の管制空域に入っていた。

     エスタ国 大統領府

「スコール!大変だ!!官制空域に凄いスピードの飛空挺が2機もいる!」
「何処の飛空挺だ?!」
「一機はミッドガルのシエラ号、一機はフィガロ国のファルコン号だって!」
「クラウドの奴、何やっているんだ?!」

 スコールはガンブレードをつかむと、大統領府を飛び出して行った。
 エアカーを飛ばして2機の飛空挺が争っている所へ到着すると、空を仰ぎ見る。シエラ号の機体の上に、長い銀髪を風になびかせ剣を構えている男が見える。

「まずい!!落されるぞ」
 スコールが叫ぶと同時に、セフィロスがシエラ号から軽くジャンプすると、ファルコン号へと飛び移った。
 ファルコン号の甲板には、エドガーとシーモアが待ち構えていた。そこへ自動操縦にしてブリッジから抜けてきたセッツァーが加わった。

 1vs3と不利なバトルだというのに、セフィロスは余裕で正宗を操っていた、それどころか相手の3人を圧倒している。
 スコールがその太刀裁きの見事さに見惚れていると、2機の飛空挺がエスタ郊外の荒れ地に着陸した。