クラウドとセフィロスは、スコールに引き入られてエアステーションへと入って行った。
 目の前に異様な姿の赤い飛空挺が泊まっていて、飛空挺の前にセルフィーと黒髪の少女が立っていた。

「はぁんちょー!ラグナロク動かすんやろ?!」
「そうだ。」
「私も一緒に行っていい?」
「リノアはここにいろ。」
「班長?どうしたん?」
「シュミ族に会うだけだ、そんなに必要なかろう。」
「だって、アタシがラグナロク離れたらラグナロクの留守番はどうすんねん?」
「セルフィーがラグナロク留守番だ、この二人ならば大丈夫だお前達よりはるかに強い。」
「あら、クラウド君にセフィロス?おっハロー!久しぶり。」

 能天気な挨拶をする少女は、スコールの彼女と言われているリノア・ハーティリィー。
 クラウドもセフィロスも、DQ大陸とのモノポリー大会で出合っている、セフィロスはその能天気さに顔をしかめたが、クラウドは一応手をあげて挨拶をする。

「シュミ族の所に何をしに行くの?」
「まあ、色々とあってね。」
「ふーん、大変ね。でもいいなぁ、クラウド君いつもセフィロスと一緒でしょ?相変わらずラブラブね。」
「か、関係ないだろ?!」

 一瞬にして顔を赤くするクラウドに、リノアがけらけらと笑う。
「きゃー!!かっわいいーー!!」

(リ、リノア あんた最強だよ)

 陽気にはしゃぐリノアのとなりで、セルフィーが呆れたような顔をしていた。
 リノアはクラウドに次々に質問を浴びせかけた。

「あ、そういえばスピラ国のユウナさんに聞いたよ。結婚するんだって?いつ?私も行っていい?あ、ブーケちょうだい!!」
「スコール、行くぞ。」
「ああ」

 うんざりしたような顔をしたクラウドが、スコールを促すとラグナロクへと搭乗する、その後を悠然とセフィロスがラグナロクへと搭乗した

 見事な航跡を残して飛び去って行ったラグナロクを見送ったリノアは、やってきたキスティス達に振り返った。

「行っちゃった」
「しっかり釘は打っておいた?」
「うん、結婚するって言っておいた」
「そう、スコールにかぎってそんな事ないと思うけど、彼のクラウドを見る目は普通じゃなかったわ。」
「うん、それは言えていたわ。だけどクラウド君はもう結婚するんだもん。大体、どうして男の子に彼を取られないといけないのよ!!」
 そういう所がいけないんだろう!という、心の中の突っ込みを飲み込んで、キスティスはメガネを片手でかけなおした。

一方、飛空挺ラグナロクの中。
 コクピットに座って操縦しながらセルフィーがクラウドに訪ねた。
「なぁ?クラウド。結婚するん?」
「うん、なんだかその方向に話が、ね。」
「ええなぁ、うちも見に行っていい?」
 クラウドの顔を見てスコールが話しかけた。
「あまり気が進まないようだな?」
「嫌ってわけじゃないんだ。でも、こういうのって他人に言われてするもんじゃないだろ?」
「まあ、そうだろうな。」
「あ、そうやん!!花嫁は誰なん?ティファ?エアリス?」

 セルフィーがごく普通に問いかけた時、セフィロスが氷河期並のブリザガをふりまき出したのでセルフィーがわめいた。

「な?!セフィロス!!これ以上機内温度下げんどいてや!」
「貴様が下らん事を言うからだ。」
「だって、知りたいんだもん!!」
「だ、そうだ。」
「意地悪。」

 セフィロスを拗ねたように上目使いに見上げるクラウドはどんな女より可愛らしいby英雄視点
 セルフィーがそんなクラウドの顔を見て目を丸くした。

「ああ〜〜〜?!まさか?!」
「セルフィー、前!!」

 スコールに怒鳴られてセルフィーは前を見た、間もなくシュミ族の村へと到着する所だった。
 セルフィーがふわりと着陸させるとラダーを降ろす

「はぁんちょう!到着いたしました!」
「留守を頼む。」

 そう言ってクラウドとセフィロスを伴いシュミ族の村へと入っていった。少し苛立っているようなスコールの背中を、セルフィーは不思議そうな顔で見ていた。

「なんやぁ?班長なんかあったんかなぁ?」

 シュミ族の村に入ったスコールは、族長と面会しセフィロス達を紹介した。族長はセフィロスとクラウドをひと目見るなり、その荒ぶる魂とそう反する魂の波動にびっくりしたような顔をしていた。
 セフィロスが来訪の目的を話すと族長は軽くうなづいた。

「そなたの荒ぶる魂はそちらの方の魂と共にいる事で温和で平静な魂となっている、その結びつきを強くする為のモノなのだな?」
「そうなるな。」
「了解した、良いものを作ろう。3日ほどいただきたい。」
「わかった。」

 どうやら話しはまとまったようだ。クラウドが族長をびっくりしたような顔で見ていた。

「凄いんだね。今のセフィロスから”荒ぶる魂”を見抜くなんて。」
「3日あるが、二人ともどうする気だ?」
「鬱陶しい連中がいるから、ここにはいたくないな。」
「すまんな。」
「一旦ミッドガルに戻るよ。出来上った頃に戻ってくる。」

 クラウドはシエラ号に連絡をとって迎えに来るよう頼んでいたのだった。3人が外に出たらラグナロクの横に機体を横たえていた。

スコールが思い出したようにクラウドに問いかけた。
「一緒に暮らしているのだったな。」
「ああ。」
「だからハッキリしろと?」
「ああ、それは嫌じゃないんだ。俺が嫌なのは何故俺がウェディングドレスを着なければいけないのか?!って事だよ。」

 クラウドが苦々しげに吐き捨てるのをスコールが呆れたような顔で見ていた、そしてしばらく肩を震わせて苦笑していた。

「く、くくく……。」
「笑うなよ。」
「いや、お前なら似合いそうだなとおもってな。」

 スコールが片手を上げると、クラウドはセフィロスと共にシエラ号に乗り込む。シエラ号が空のかなたに飛び去って行くのを見送った後、スコールはラグナロクへと乗り込んだ。
ラグナロクではセルフィーが鼻歌を唄いながらモニターを見ていた。

「なぁ、班長。クラウドのドレス姿綺麗やろね。」

 セルフィーの言葉にスコールは再び肩を揺らして苦笑していた、その珍しい姿にセルフィーがびっくりしている。

「どうしたん?!スコールが笑うなんて珍しいね。」
「いや、クラウドも一流の戦士なんだぞ。その彼が女装させられると言うことはかなりの屈辱じゃないかな?」
「まあ、そうやろね。」
「それでも嫌と言わずにアイテムを集めているということは、クラウドに女装を命じた人が実質ミッドガルのボスということではないか?」
「まさかルーファウス社長が?」
「いや、ティファかエアリスあたりだろうな。」
「はあ…、人は見かけによらないって事やね。」

 セルフィーは以前会ったことのある二人の女性を思い出していた。二人とも優しげな女性だったと思ったのだが、どうやらそれだけではなかったようであった。

 そしてそれから3日後、再びクラウドとセフィロスが現れた。
 シエラ号で直接シュミ族の村に行くと、目的のモノを入手しすぐに帰って行った。エスタの大統領府で航空管制官の話を聞いてアーヴァインがスコールに聞いた。
「なあ、スコール。いいのかよ?」
「何の事だ?」
「金髪碧眼の逞しいお姫様の事さ。」
「本人は結婚を嫌がってはいない、ただ女装させられるのが嫌なんだそうだ。」
「嫌がっていないって、そう言う事じゃなくて!!」
「嫌がっていないのなら、逆に言えば何時かは望む事だと言う事だろ?」
「で?諦めるって?」
「諦める?何の事だ。」

 アーヴァインを厳しく睨みつけると、スコールはどこかへ去って行った。

 エスタ郊外にあるティアーズポイントにスコールはエアカーで入った。
 神像の近くまで歩くと、何か光っているものがあった、指でつまみあげると何かの指輪であった。

 スコールは指輪をしばらく見詰めると天高くほおりなげた。


* * *



   神羅カンパニー本社ビルではルーファウスがタークスのツォン相手に何やら相談事をしていた。

「あの二人の結婚式の招待状だが、他国にも出すべきかな?」
「あの二人もなにかと交流してますのでその相手には通知するのが普通です。」
「そうか、では。」

 そこまで話して電話に手をかけようとした時、エレベーターが開いてティファとエアリス、マリンが入ってきた。

「あら、ルーファウス。絶対他国の人達を呼ぶべきよ!!じゃないとクラウドもてるんだから!!」
「そうね。フィガロの国王様にギャンブラー、スピラ国の老師なんかもクラウドに一目惚れしたみたいだしね。」
「ふーん、クラウドって凄いね。」
「だから!!クラウドはもうセフィロスのモノと宣言しないと、あたしが玉の輿に乗れないでしょ!?」

 何だか激しく違うような気がするが、あながち間違ってもいないので、ルーファウスも文句も言えない。
 ティファ達に誰と交友が有るか聞く事にした。

「では、一体だれに出せばよいかな?」
「う〜ん、レディアント・ガーデン関係でエスタのスコールでしょ、セルフィーさん、スピラ国のティーダ君とユウナさん、パインさんにリュックさんフィガロのセッツァー。モノポリー大会で知り合ったのが…。」
「エスタのリノア、キスティス、アレクサンドリアのジタン国王、黒魔導士のビビに召喚士のエーコちゃんだったかしら。」
「あとクラウドお兄ちゃんに言い寄っている人達もだよ。」
「ローザさんに聞いたらバロン国のカインさんと言う人に言い寄られているわ。」
「フィガロの国王様も、この間スピラに行ったら何とかって言う老師もね!」

 ルーファウスはティファ達の言葉を聞いて半ば呆れる様な声を出した。
「なるほど、クラウドはそんなにもてるのか?セフィロスに伝えておけ、『クラウドを泣かせたら多国間戦争になるぞ』と。」
「了解いたしました。」

 ツォンは一礼すると招待状を制作する為にタークスの詰め所へと出向いた。