FF ニ次小説

 ランスロットが会議の目的を手短に話しはじめた。
「本日、クラスSソルジャー諸君に集まっていただいたのは、クラウド・ストライフ二等兵の処遇に付いて話しあう為です。セフィロス、よろしくお願いいたします。」
「うむ、クラウド・ストライフ二等兵だが、昨日の武闘会の結果は知っておるな?本日の剣技、射撃、魔力、戦略の査定の報告を頼む。」
「はい、まず剣技ですがランスロットと私パーシヴァルが担当いたしました。我々二人の剣を一人で10分以上連続で受け流しました。剣技に置いてはクラスS相当です。」
「射撃は私トリスタンが査定を担当いたしました。レベル7のプログラムを誤射10%未満でクリアしています。クラスA相当の実力があります。」
「魔力は私リーが査定をいたしました。発動時間、魔法の種類、強さから考えるとクラスSでもトップクラスです。」
「最後に戦略だがコレは私が査定した。戦略的にはまだ未熟だがいいものを持っている。後は実際に経験を積ませるのが一番であろう。」

 一通りクラウドの査定結果を聞いてランスロットが再び口を開いた。
「クラウド・ストライフをどこに所属させるべきだと思われるか、諸君の意見を聞きたい。」
 ランスロットの正面にいたグレインが手をあげた。

「話を聞く限りではクラスA所属がふさわしいと思われます。」
「同意いたします。」
 二人のソルジャーが口火を切ると同時に、同じように同意するソルジャーが沢山出た。
 ランスロットは軽くうなずいてその場のソルジャー達全員に訪ねた。
「クラウド・ストライフをクラスA待遇にする事に賛成する者は挙手を…。」
 その場にいるほぼ全員が挙手をした。
 ランスロットがうなずいてセフィロスに告げる。
「我々はクラウド・ストライフをクラスA待遇にする事を推します。」

 セフィロスがランスロットの言葉にうなずくと立ち上がった。
「では、クラウド・ストライフはクラスAソルジャー待遇とする。尚、所属する隊の変更はなし。第13独立小隊の副隊長と処す、以上だ!」
 クラスSソルジャーが全員立ち上がり敬礼した。

 全員が会議室を退出している時、ランスロットがちらりと後ろを振り返ると、セフィロスは携帯を取り出して何処かに電話を入れていた。
 口元に笑みを浮かべながらランスロットがパーシヴァルと共に第13独立小隊の執務室に行くと隊員達全員が集まっていた。
 あっという間に全員が整列し入ってきたクラスSソルジャーに敬礼をする。
ランスロットが軽く目礼すると隊員達が敬礼から直る。

「クラウド・ストライフ、前へ!」
「アイ・サー!」
 呼ばれたクラウドが最後尾から気まずそうに前に出ると、二人のクラスSソルジャーはニコニコとクラウドに笑いかけた。
 パーシヴァルがクラウドに話しかける。
「昨日、本日の査定により貴君をクラスAソルジャー処遇とする。所属は変更なし、君はこの第13独立小隊の副隊長となるのだ。正式なランクアップはどうやら明後日になりそうだが…どうするかね?クラウド君、クラスA執務室をのぞいて見るかね?」
「クラスA…、本当に?」
「ええ、君の力は十二分にクラスAを任せられる物です。」
 クラウドの周りに先輩隊員達がよってたかって頭を撫でたり小突いたりした。
「やったな、憧れの隊長殿の隣の位置だぞ。」
「ま、俺としてもおまえなら上司になっても、気まずいってこたァ無いぞ。むしろ大歓迎!!書類もおまえに頼めるし〜〜〜!!」
「馬鹿猿、もう手伝ってくれるわけないだろう?」
「いや、クラウドなら逆におまえに発破をかけられる。そう言う意味ではいい上司になれるぜ。」
「うげぇ〜〜〜!!!」

 ザックスが大声を上げた時セフィロスが入ってきた。
 部屋に入った途端ふざけているようなザックスの頭に鉄拳をお見舞いする。
「馬鹿者、上官の話に口をはさむな!」
「う”う”……。ア、アイ・サー。」
 ザックスが痛いのを我慢して敬礼するとランスロットが続けた。
「制服の支給は今から行う、武器、防具の支給は明後日正式辞令の時です。さあ、クラスAソルジャー達が首を長くして待ってますよ。」
「は、はい!!あ…でも、なぜ正式辞令は明後日なのですか?普通は翌日ですよね?」
「明日行えるかどうかはセフィロスにお聞き下さい。」
 ランスロットに言われてクラウドが瞬時に真っ赤になった。
 クラスSソルジャーが執務室に入ってくる前に、今夜のディナーのお誘いがセフィロスからあったのである。

 (そ、そういえば……一昨日。うわぁ〜〜〜!!   (#。 。#)”)

 クラウドの真っ赤になった顔を見てセフィロスがにやりと笑った。
 ランスロットとパーシヴァルはいささか呆れたような顔をしていたが、勤めて平常心で居ようとした。

「では、いきましょうか?」
「あ、はい。」

 二人のクラスSソルジャーの後ろに付いてまず制服の配給に行く、すでに連絡が入っていたのかクラスAの証である白革のロングコートが2枚給付された。
 試着して見ると華奢なクラウドにはまるで白いワンピースのようであった。
「こ、コレしかないのですか?」
「ええ、このサイズが一番小さい物です。」

 どうみても可愛い女の子にしかみえないクラウドに思わず笑みを浮かべ、そしてすぐに真顔に戻る。まるで騎士が姫をエスコートするかのようにクラウドをクラスA執務室に案内しはじめた。
 その道すがらパーシヴァルがクラウドにクラスAでやるべき事を説明していた。

 パーシヴァルから聞いた事によると、1st以上は二人1組でミッドガルの警らを順番に担当する。
 そしてクラスAソルジャーは万が一の事を考えて、ミッション中をのぞいて3直交代になっていた。
「君は外で生活しているのだから24時間移動可能な方法を考えないといけないな。」
「16才で取れる免許はミッドガルでは何がありますか?」
「自動二輪、つまりバイクです。自動車は18才からですよ。」
「わかりました、早々にバイクの免許を取りに行きます。」
「ここがクラスA執務室です、さあどうぞ。」

 ランスロットが扉を開くと、白のロングを着た屈強そうな男共が即座に整列し敬礼する。
 二人のクラスSソルジャーが目礼しクラウドが敬礼をした。
 クラスAソルジャーが敬礼から直った。

「先日の武闘会の結果は皆しっているな。彼はクラウド・ストライフ。準ソルジャークラスAとして明日より君たちと共に心身を鍛える事になる。」
 パーシヴァルの説明の後にクラウドが自己紹介をした。
「第13独立小隊所属クラウド・ストライフです。よろしくお願いいたします。」

 クラスAソルジャー達が一人づつクラウドに握手を求め名前と所属を名乗った。その中の一人、以前戦ったことのあるランディが声をかけた。

「やあ、やっぱり来たね。クラウド・ストライフ君。」
「あ、お久しぶりです。名前は呼び捨てにしてください、俺まだ駆けだしですから。」
 他のクラスAソルジャーがランディに問いかけた。

「ランディ、知り合いか?」
「ランディだけじゃないぜ。」
「俺達も知っている。」
「彼が特務隊の”姫君”さ。」
「納得!」

 クラスAソルジャー達が大笑いをすると、クラウドが拗ねたような目で睨みつけていた。
 そんなクラウドの気持ちを解ったのか、エドワードが笑顔で話しかけた。

「大丈夫だ、俺達はおまえの実力を認める。なにしろクラスC以上に編入するには、連隊長殿達の閣議で3分の2以上の同意が得られないとダメなんだ。」
 クラウドがエドワードの言葉ににこりと微笑む。
 エドワードはクラスAbPいい男と本社総務部のお姉さん達一押しのソルジャーである、クラウドと微笑みあっているとまるで一枚の絵画であった。

 後々、エドワードはこの時クラウドに微笑まなければ良かったと、何度も思う事になる…と、いうのはマダ先の話しである。

 エドワードがクラウドと微笑みあっていたのを他のクラスAに揶揄された。
「お、さすがクラスAbPいい男、こんな強いお姫様と一緒に居ても絵になるじゃん。」
「何言ってるんだか、俺はノーマルだ、リックとは違う。」
「サー・ランスロット、クラウドは寮生活ですよね?」
「いや、任務の都合で外で生活している。」

 ランスロットの言葉に特務隊の仕事を一度は経験している男たちは顔を青ざめる。

「おまえ、何をやったんだ?」
「はあ……?」
「反抗勢力の犠牲者出したんだろう?可哀想に。しっかりケアしてやれよ。」

 クラウドはよくわからないがどうやら反抗勢力の犠牲者のケアは下級兵の仕事になっているようだ。
 寮生活ではないとわかった途端のこの反応ではそれぞれ一度や二度は経験していたようである、クラウドに取っては『これなら勘違いされていてもいいか。』という状況なので曖昧な返事をしていた。

「いいな〜〜!!男か?女か?」
「馬鹿だなぁ、リック達がこいつにへんな男を近寄らせると思ってんのか?女に10ギル!」
「俺、年上に10ギル!」

 (な、なんだかなぁ……。)

 クラスAとはいえ一般兵とあまり変わらないんじゃないのか?とクラウドが思いはじめた。
 それを知ってか知らずか二人のクラスSが苦笑をこらえている、ブライアンがそれに気が付いた。

「いいかげんにしろランディ、キース、アラン。連隊長殿達に後で絞られるぞ。なにしろキングの背の君だからな、下手に笑うと正宗の錆にされるぞ。」
「キングの背の君??」
「ああ、そうだろう?なにしろ君はあのサー・セフィロスが隣に立つ事を望んだ男だ。そんな男を俺達が見下したりすることはできない。でも、明後日から覚悟しておくのだな。俺達は強い男と腕を試したい、そして君から憧れのキングのとなりを奪ってやりたい。」
 クラスAソルジャー達の言葉にクラウドは思わずため息をついた。
「サー・セフィロスの隣に立つと言うのは思った以上に大変なんですね。」
「ああ、全隊員の憧れの位置だ。それを覚悟の上でそれにふさわしい男となってくれ。魔力では俺でもかなわないほどの男だからな、あとは体力ぐらいなもんだろ?」
 ブライアンの言葉を聞いてパーシヴァルはたずねた。
「ほぉ?ブライアン、貴様何を知っている?」
「隊長殿のフェニックスを発動したと聞いています。自分は呼ぶことができない召喚獣を自由に操れる、それだけで魔法部隊の副隊長であるがゆえ負けを認めます。」
 ブライアンの言葉にクラスAソルジャー達が静かになった。
 副隊長クラスであるがゆえ召喚獣を従える者たちだとている、しかしそれはシヴァとかイフリートとか魔力があれば誰でも召喚出来る召喚獣で
 部隊長達が持っている”己の意志で召喚主を決める”ような召喚獣はいまだに持てない。
 それは魔力が無いと言う訳では無い、魔力だけならクラスAソルジャー達の方がクラウドよりも遥かにあるはずであった、しかし召喚獣が己の意志で味方するのは魔力や精神力だけではないと言われていた。
      その何かを目の前の少年が持っている。
 それだけで、クラスAソルジャー達はクラウドを認めざるをえないのであった。