いつの間に眠ってしまったのだろうか?やたらからだがダルい、昨日はさんざん逝かされて意識を飛ばしてしまったようだ。
クラウドが日の光に目を覚ました時、目の前に愛しい人の顔があった。
日の光に映える銀髪、鍛えられた身体、秀麗な顔だちは人々の憧れである”神羅の英雄”セフィロスであった
(俺…、本当にこの人と結婚してるんだよな…まだ信じられないや。)
そんな事を思いながらセフィロスを見つめていた。
セフィロスがその視線に気がつくと、ふと柔らかな笑顔をみせた。
「セフィ…おはよう。」
「ああ、おはよう。」
そんな他愛もない会話に、クラウドは幸せを感じているのかふわっと微笑んだ。何度も抱いた相手だと言うのに…、すでに一緒に生活を始めて5ヶ月も経とうとしているというのに、初々しいままのはにかんだような笑顔がセフィロスにはとても新鮮だった。
(どうしてこの少年にこれほどまで心を奪われたのだろうな……。)
セフィロスはふと出合った頃のクラウドを思い出していた。
自分の隊に新入りの兵士を引き受けた事ほとんどといっていいほどなかった。
最前線での戦闘を引き受けなければいけない第13独立小隊、別名『特務隊』は、一般兵でもトップクラスの実力を持つ者だけが入隊を許されていた。
入隊と同時に足手まといになるのでは即、そいつは死につながる。
まだ15歳の訓練兵を始めて見た時は、目の前で1stソルジャーのトップを張る男を、油断していたとはいえたった2撃で気絶させてしまった時だった。
しかしその偶然だけでセフィロスは新兵を引き受ける気には多分ならない。
それほど第13独立部隊はし烈な戦線を潜り抜けてきたのであった。
たとえその時クラウドの唇から「どうかご無事で…。」と紡がれようとも……。
二度目の接点は訓練所の教官がもたらした新兵のデーターだった。
飛び抜けて優秀、魔力など下手な下級ソルジャーよりも凄い物であった。
容姿と能力があいまっておらず、ずいぶん下賎なイジメにあっていたようである。自分の隊に入れればそう足手まといになる事もなくすぐに能力を開花出来るうえに、実力重視の隊員達がこの訓練生を下賎な目で見る事もないであろう。
そう思って試しにいつもそうしているように、クラスSのその道のトップの奴に二週間まかせてみた。
思った以上に化けた物だったな。
たった2週間だというのに3度目に会った時は、既に一人前の戦士の顔つきになっていたが、相変わらず「ご無事でよかった…。」などとつぶやく少年に興味を持ったのは確かだった。
最後通告のつもりで言い渡した特務隊入りだったが、クラウドは目を輝かせていたな。
素直そうな青い瞳がまっすぐに私を見ていた。
入隊直後の新兵が出来る事など、身体を鍛えることと、戦略を学ぶ事しかなかったが、アイツは私の言う事をすぐ理解した。
私は何故か嬉しくなったのをいまだに覚えている。
気がついたらいつのまにかアイツばかりを目で追いかけていた。
このままでは自分がおかしくなると思って、ワザと避けるようにしていたら、クラウドが徐々に暗い顔をするようになって来た。
ザックスやパーシヴァルがクラウドを心配するのをイライラして見ていたが、気が付いたら部屋につれ込んでいたな。
その理由さえ気が付かないままに……
クラウドの瞳が私自身を見ていなかった事に腹を立てた。
なぜ腹を立てたのか自問自答し答えが出た後すぐに口説いていたな。
『誰にも渡したくは無い、私のモノになれ。』と。
クラウドは青い瞳を大きく見開いてびっくりしたような顔をしたがすぐに微笑んでくれた。
返事を聞く前に桜色の唇に口づけていた。
いまでも子供だと思う事もあると言うのに全てを欲しがった。
SEXの相手なら女も男も向こうから言い寄って来たはずだった。
抱くだけ抱いたらすぐに離れて、夜を通して抱く事はなかった。ましてや自分のプライペィトルームへ通した事など、誰一人もいなかったと言うのに、クラウドを部屋へ連れ込んで…何もかも初めての少年をゆっくりと解きほぐして、時間をかけて手に入れた。
初めて自分から欲しいと思って、手に入れてしまったら、少年のまわりのやましい気持ちを抱く男共が気になってしかたがなくなった。
自分がこれほどまでに独占欲の塊だとは思わなかったな。
入手したバハムートのおかげで無事クラウドとも同棲出来た。
まあ、あいつがモデルになると言う予想外のおまけがついたが、そのおかげで色々と楽しませてもらっているような物だな。
しかし…、思ったより早く私の隣に立てるようになったものだ。
クラスAソルジャーの白い制服がおまえのハニーブロンドには良く似合うだろう。
明日の出社はあの制服で行くことになるのか…楽しみだな。
セフィロスは愛しい恋人を膝の上に抱き髪をその指ですきながら、ゆるやかに過ぎてゆく時間が好きだった。それは刹那的な戦いに身をゆだねている自分と真逆の時間であった。
「今日は何をしたい?」
「セフィとデート!」
「それもいいな。では行くか。」
セフィロスがうなずくとクラウドはロイヤルブルーのワンピースを着ると、カチューシャと付け毛を付ける、手慣れた様子で軽く化粧をするとクラウディアが現れる。
バッグに昨日の衣装を詰め込むとホテルをチェックアウトするためにフロントへと行く。
時間はすでに昼近くになっていた。
セフィロスはそのままクラウドの腰を抱き町へ繰り出した。遅いブランチを食べようとレストランへ入ろうとした時、正面からランディとブライアンがやってきた。
おもわずクラウドがセフィロスの後ろに隠れるように下がる。
「あ、サー・セフィロス。お買い物ですか?」
「凄い美少女を連れてみえますね、噂のフィアンセですか?」
セフィロスがクラウドの肩に手を置いて悠然とした顔で二人のクラスAソルジャーに答えた。
「ああ、そうだ。」
そう言ってクラウディアの額に口づけをするセフィロスを、二人のソルジャーはあっけにとられて見ていた。
そんな二人を見てセフィロスはにやりと笑ってたずねた。
「ところで、君たちは何をやっているのかね?」
「はい、サーの配下のクラウド・ストライフが、我らクラスAに準ソルジャー資格とはいえ所属することになったので、歓迎会の下見です」
「明日にはちょっと揉んでやろうかと思いますが、奴が本気になったら一発で負けですから困ってますよ。」
「クラウドはさほど強くはないはずだが?」
「バハムート召喚されたらカンパニーのビルごと破壊されておしまいですよ。」
「バハムートは召喚主が真に願わねば力を貸さない。あいつの性格なら召喚マテリアなど使わないだろうがな。」
「ええ、ところでサー・セフィロスそちらの恋人を紹介していただけませんか?」
ブライアンの問いかけにクラウドはあわててセフィロスの腕の影に隠れた。
「残念だが私は存外独占欲が強くてな。出来ればモデルなどしていないで、部屋に居てほしいと思うほどの女を貴様達のような輩に紹介したくは無い。」
「では、危険地域に行かれる時の身代わりを探さねばいけませんね。」
「ああ、そうだな。探せる物なら頼む。」
「では、我々はコレで失礼いたします。」
二人のソルジャー達が敬礼をしてその場を去って行った。
クラウドがホッとしている横でセフィロスが冷たく笑っている。
「クックック 明日揉んでやる…、だとさ」
「歓迎されているみたいで嬉しいよ。」
投げやりな返事をクラウドが返すとゆるやかに微笑んだ。
「でも、本当にうれしい。セフィを守る力が欲しかったんだもん。」
「天下無敵の神羅の英雄を守るだなどと、お前以外考えないだろうな。」
「セフィがケガしたりするのを見るの嫌だもん、だから貴方は俺が守る。」
「ではそうしてもらおうか、お前を俺が守っているように。」
肩を抱かれながらクラウドは食料と消耗品を少し買い込んで部屋へかえると、キッチンで食事の支度を始めるとセフィロスが珍しくとなりに立ちナイフを器用に使いこなしている。
「セフィのこんな姿、俺以外見せてほしくないな。」
「長い独身生活だったから自分で言うのもなんだが料理はうまいぞ。」
「料理上手のだんな様って…理想なのかな?」
「私は理想ではないのか?」
「セフィはね、寂しがり屋でわがままで独占欲の強い優しいだんな様。」
「寂しがり屋?私がか?」
クラウドは笑顔でうなずいた。
「うん、だって寝るいつも俺を抱きしめて寝てるでしょ?少しでも離れるとセフィったら無意識に抱き寄せるんだもん。ぜ〜〜〜〜ったい寂しがり屋さんだって思っている。」
セフィロスはクラウドの言葉に声を立てて笑った。
「クックックック…。そうか、私は寂しがり屋だったのか、知らなかったな。」
いつもいつもこの少年には驚かされる。
私の知らない私を気づかせてくれる、私に無かったものを思い出させてくれる。
だから私はこの少年の前でなら、ありのままの自分で居られる。
「クラウド、一緒になってくれてありがとう。」
「セフィ…俺も…俺を選んでくれてありがとう。」
「明日一番で士官専用会議室だ、クラスAソルジャー用の支給品を渡す。おまえの白いロングコート姿はその時まで見ないでおくよ。」
「イェス・サー」
軽く口づけを交わして食事の支度を続け、あっという間に支度を終えると、テーブルセッティングをして食事を始める。
それは仲睦まじい夫婦のごく普通の食事風景だった。
* * *
翌日。9:00士官専用会議室の扉をノックと共に開けて、白のロングコート姿のクラウドが入ってくる。
テーブルの上にマテリアが数個とクリスタルソード、クリスタルバングルが置いてあった。
クラスAソルジャーの持てる最高の剣がクリスタルソードである。
セフィロスが立ち上がるとクラスSソルジャー達が整列すると、クラウドがまっすぐクラスSソルジャーの前をセフィロスの方へ歩く。
装備を間に挟んでクラウドはセフィロスの正面に立った。
「クラウド・ストライフ、そこにあるソードとバングルとマテリアはクラスAソルジャー用の支給品だ、マテリアはまだ未成長の物だが君の魔力ならばすぐ戦闘に使えるほどにまで成長するだろう。装備したまえ。」
セフィロスの言葉にクラウドが敬礼した。
「アイ・サー!」
自分の装備していたバングルをはずしバハムートのマテリアをはずす。
クリスタルバングルに回復とバリアのマテリアを、全体化のマテリアと組みにして治療と蘇生をそれぞれはめ込むと、左腕に装備する。
クリスタルソードに氷と雷、炎、敵のワザを入れてバハムートのマテリアはMP吸収と組みにするとソードを腰に装備する。
おそらくクラスAソルジャー最強の戦士が今、誕生した。
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