FF ニ次小説

 重たい身体を引きずるようにセフィロスと過ごしているマンションへと帰ったクラウドは、制服である白のロングコートと下着をクローゼットの中から引きずり出す。
 リュックに詰めると背負ってバイクを置いてある駐車場へと歩き出した。
 今はセフィロスの顔を見たくない一心で宿舎へとバイクを向けた。

 それから10分後、本来自分がいるべき宿舎へと現れたクラウドをアンディとルイス、ウェンリーがみかけて、あわててかけよった。
「あれ?!クラウドじゃないか!!久しぶり!!」
「特務隊の任務を終えた所だろう?リックさん達がそこで待っているぜ。」
「顔、暗いなぁ。一体どうしたって言うんだよ?」
「ん?ちょっとね。今は話せないけど・・・・自分の心が整理出来たら話すよ。」
 寂しげな笑顔を残して歩き去るクラウドの背中はまるで泣いているみたいであった。3人の元同僚達は顔を見合わせてそれぞれが自分の考えを話しはじめた。
「何か失敗したのかな?」
「特務隊だぞ、そんな事は無い。プライベートじゃないのか?」
「あ!!俺知ってる!!クラウドの奴、外に年上の彼女がいるって聞いたんだ。心の整理って、もしかすると・・・・」
「彼女に振られたって事?」
 3人の元同僚はまるでスクープとばかりに口をつぐんだが、その話を自分達の先輩や上官達に広めるまで、さほど時間はかからなかったのであった。

 一方、自分が本来いるべき寮のエントランスに行くとリックとカイルが心配そうな顔で待っていた。
 二人は黙ってクラウドを挟むと自分達の部屋へと入って行くのであった。

 その頃、部屋に帰って来たセフィロスは、部屋の扉に鍵かかかっていた事に訝しむと、扉の向こうの気配を探る。

(クラウドの気配が全くない!?)

 あわてて扉を開けると部屋は真っ暗、明かり一つ付いていなかった。
 部屋の明かりを付けるとリビングのテーブルになにか置いてあったのを見つけた、手に取るとクラウドの書き置きだった。



   セフィロスへ

  こんな俺を愛してくれてありがとう。
  今まで一緒に過ごせて幸せでした。
  あなたには俺じゃダメなんですね、
 今夜大人の女性を相手していたあなたが 
 一度も俺を見なかったのがその証拠です。  
  明日にも離婚届にサインをします。
  指輪はその時お返しいたします。
  どうかお幸せに。   

              クラウド・ストライフ



 セフィロスは目の前が真っ暗になっていた。

「な!?何故、こう言う事になったんだ?!」

 荒々しく携帯を取り出すとザックスに電話をかける、3コール目で反応があった。
「はい、ザックスです。」
「俺だ。」
「セフィロスか?なんだよ、こんなに遅くに、どうしたっていうんだ?」
「クラウドがそっちに行っていないか?」
「こっちに…って、まさかあんた、家でクラウドと喧嘩でもしたのか?!」
「部屋に帰ったらアイツが何を勘違いしたのか、書き置きを残して出て行ってしまった後だったんだ!!」
「あ〜、やっぱり。そりゃあんたが悪いわ。クラウドの目の前で商売女相手に鼻の下伸ばしてれば、いくら出来た嫁とはいえ出て行きたくもなるわ。」
「だ、だれが!!クラウドの足下にも及ばぬではないか!!」
「とにかく俺のところには居ない。ああ、ちょっとまてリックからキャッチが入った。」
 ザックスの応答がしばらく無くなった、そしていきなり大声を出した。
「セフィロス、怒るなよ。クラウドは一般兵の宿舎に居る。リックが確保しているってさ。」
 その声を聞くや否やセフィロスがエレベーターにかけ出した。駐車場の愛車に飛び乗ると、アクセルを全開して高速へ飛び出して行く。車のすき間を縫うように高速を普通の半分の時間で駆け抜けて、カンパニーへとたどりつくと駐車場の外でリックが待っていた。

「隊長殿、浮気はしていないですよね?」
「当然だ。案内しろ、あいつの誤解を解かねばならない。」
「はぁ、誤解されるような態度でしたから無理はありませんが、現在姫はカイルと一緒に自分達の寮。つまり本来ならいるべき部屋にいます。」
「お前もそういう物の見方をしていたのか?」
「自分はあくまでも姫の味方です。」

 そういうとセフィロスはリックを伴って特務隊の寮へと歩いて行った。

 カイルにミルクティーをもらってソファーに座ってクラウドはじっと部屋を見渡した。共有スペースにはリビング、個室式になっているのか扉が3枚とあまり大きくはないが、ユニットバスとトイレが備わっている。
「ねえ、カイル。俺、今夜からこの部屋に泊まれる?」
「ん?それはこれからリック達と相談する事になると思う。」
「リック達?」
「ああ。」
 カイルが何か言いたげな顔で通路へと通じる玄関の扉をじっと見ていると、しばらくたってノックの音が聞こえた。
「俺だ。姫は?」
「ああ、だいぶ落ち込んでいるようだ。」
 カイルが答えると同時に扉が凄い勢いで開くと、全身怒りの青い炎をまとったようなセフィロスが飛び込んできた。
 クラウドがびっくりして隠れようとするが、カイルはそんな彼の肩を片手でつかまえたままセフィロスに敬礼をした。
「御待ちしていました。」
「え?!ど、どうして?!」
「それは私が聞きたい。」
 セフィロスがポケットから紙を一枚取り出した、それはクラウドの書き置きだった。

「この書き置きは一体どう言う事だ?!」
「どう言うって…書いてある通りだよ。セフィは大人の女の方が俺なんかよりいいんだろ?」
「馬鹿なことを言うな!!これを見た時の私の気持ちがわかるか?!自分がなぜお前を失わなければいけないのかわからずに、目の前が真っ暗になってしまったんだぞ!!」
「だって、セフィは一度も俺の方を見なかったじゃないか!!あんなに沢山の女性に囲まれて…。俺が隊をまとめて引き上げの合図をした時には会場に居なかったじゃないか!!」
「当たり前じゃないか!ミッション中にはプライベイトは持ち込まないと何度お前にいったら理解出来る!!」
 それまでじっと横で聞いていたリックが口をはさんだ。
「隊長、パーティーがはけた後どちらにいらっしゃったのですか?」
「ランスロットとルーファウスにつかまっていた。二次会に誘われたがお前がもう隊を解散させた後だったので、あわてて部屋に帰ったら、これだ。」

 セフィロスがクラウドの書き置きを見せるとリックが思わず吹き出す、その反応にクラウドは思わずうつむいてしまった。
「どっちの味方すればいいかわからなくなって来た。夫婦げんかは犬も食わないって、こう言う事か。」
 リックが呆れて肩をすくめ、カイルは黙って部屋の玄関をあけた。
 リックがクラウドに笑顔を浮かべて話しかけた。
「残念ながらこの場合は隊長に味方するよ、お前をこの部屋に泊める訳にはいかない。」
 そういうとクラウドとセフィロスを部屋から追い出そうとした。
「リ、リック 追い出さないでよ。俺、どうしたらいいんだよ。」
「俺が知るかよ、最愛の旦那様に聞くんだな。」
 あわてて自分の腕を掴もうとするクラウドの腕を払いのけると、リックがウィンクを一つおくり、そしてセフィロスをにらみつけながら声をかけた。
「隊長殿。言っておきますが俺はまだ姫の事を諦めていませんからね。」
「クックック、私から奪える物であれば奪って見るのだな。」
 そう言ってセフィロスはクラウドを引きずるように特務隊の執務室まで歩いて行った。
 その後ろ姿を見送ったリックは自分の部屋に戻りながら思わず身震いをしていたのであった。

 特務隊の執務室に連れ込むと、セフィロスはいきなりクラウドを抱き寄せ唇を奪った。
 息が揚がるほどの激しい口づけを受けながらも、クラウドはここが職場であるが故嫌がって身体をよじった。
 そんなクラウドに抵抗する余裕がなくなるまで執拗にキスを繰り返すと、華奢な身体から次第に力が抜けてきた時やっと唇を離して耳元で囁いた。

「クラウド、お前はそんなに自分に自信が無いのか?」
「俺が自分に自信?」
「私に愛されているという自信、自分以上に私に似合う奴は居ないと言う自信、そして誰よりも自分が一番私を愛しているという自信だ。」
「…………。」
「思い当たらないのか?私にはあるのだがな。」
「セフィ…ゴメン。俺がバカだった。」
「では、コレはどうする?」

 クラウドの書き置きをセフィロスは見せつけるように手に持っていたが、いきなり持っていた書類が燃えた。クラウドがピンポイントでファイアをかけたのだった。
 クラウドは青い瞳に涙を浮かべながら上目づかいにセフィロスを見つめていた。セフィロスが意地悪そうな笑顔を浮かべた。

「さて、我が愛する妻はどうやって私の気持ちを慰めてくれるのかな?」
「セフィの意地悪。」

 クラウドはセフィロスの首に腕を回すと唇をあわせた。そして初めてじぶんからおずおずと舌を差し込んだ。
 なれない様子で一生懸命自分の気持ちを伝えようとするクラウドが愛しくて、思わず抱きしめたくなったが、それではお仕置きにならない。
 セフィロスが深い口づけでクラウドを溶かしたいのをぐっと我慢していると、唇が頬から耳を伝わって首を降りてきた。

  もう我慢なんて出来ない!!

 かみつくように唇を奪うと何度も角度を変えて深く口づけをする。しばらくキスを交わしているといつの間にかクラウドをソファーの上に押し倒していた。
 クラウドの腕がセフィロスの身体を押し返そうとあがくが、深い口づけで溶かされて思うように力が入らない。やっと離された朱色に染まった唇から息絶え絶えに言葉が漏れる。

「セ…セフィ、だめだよ。ここ……執務………室。」
 熱にうかされたような青い瞳に妖艶に揺れる欲情の炎、ほのかに朱に染まった頬ときめ細かい白い肌のコントラストはどんな女よりもセフィロスの心に火をつける。
「ダメは聞けないな。」
「え?!ど、どうして?」
「お仕置きにならない。」
 そう言うとクラウドの白いロングの前あわせをはだけ、白磁のような肌に唇をよせるとクラウドが身体をよじる。

その夜 さんざん喘がされ意識を飛ばすまでクラウドは許される事が無かった。



ソファーでやっちゃったら汚れるだろうとか突っ込まないで下さい
作者アホですけん、そこまで深く考えていません