記憶が無いとはいえ、愛しい妻を抱き寄せながら自宅マンションに帰ったセフィロスは、鼻歌交じりで自分の私服とクラウドのドレスを選び、リビングに突っ立っている愛妻を招き寄せた。
「おいで、いつものように一緒にシャワーを浴びるぞ。」
「え?あ……は、はい。」
おずおずとシャワールームについてくるクラウドを見てセフィロスがほくそ笑む。
(クックック…、記憶が無いと言うのもいい物だな。)
クラウドはいつも恥ずかしがって一緒にシャワーを浴びるような真似はしなかった。
Make Loveの後で力が入らないクラウドの身体を洗い流してやることは良くあったが、こうして抱く前に一緒に汗を流す事はなかった。
(一緒にシャワーを浴びるとか、いつもは恥ずかしがってできないことも、させられるな。クックック…) 危ないぞ!英雄!!
視野の端に赤くなりながら白のロングコートを脱ぐクラウドがいた。滑らかな白い肌があらわになってきている。
視線の端でクラウドの様子を見ていたセフィロスが、シャワーのコックをひねり、やや熱めのお湯をノズルから出して身体に浴びていると、そっと愛妻がシャワーのお湯の中に入ってきた。
髪を濡らしてシャンプーをかけて洗いながら、泡を身体になすりつけて行くと、クラウドが思わず身体をよじらせた。
「どうした?身体を洗ってあげているだけではないか。」
「だ、だって…ぁん!!…はぁっ。」
嫌がらないクラウドにセフィロスは調子に乗ってイタズラのし放題、さっきから身体を洗うと言う目的よりはクラウドの感じる所を攻め続けていたりしています。
クラウドはそんなセフィロスに融かされ切っていてもう抵抗も出来ません、ただセフィロスのなすがままに艶やかな喘ぎ声をあげていた。
こうなるとセフィロスも止まれずに1ラウンドしっかりやっちゃいました。
荒い息をしながらぐったりしているクラウドをバスタオルで包んで水気をふき取ると、ミネラルウォーターを口に含んで口移しに飲ませると、軽く1Lを飲ませたところでクラウドがやっと目を開いた。
「早く着替えろ。それともなんだ?まだ足りないのか?」
気だるい身体を引きずるようにクラウドが、セフィロスの用意した服に着替えようと手にした衣装は、何処をどう見ても女物のワンピースでシルクサテンのさわさわしたドレスだった。
セフィロスがドレッサーの前にクラウドを座らせるとドライヤーで、胸まである髪を乾かしながら櫛で丸みを付けて行く、アイメイクと口紅をぬると鏡の中には凄い美少女が座っていた。
5cmのピンヒールの靴をはかせるとそっとエスコートするかのようにリビングへと戻る。
「では、食事に行くか。」
極上の笑みでセフィロスはそう言うと部屋のセキュリティーを確認して玄関からエレベーターへと乗り込んだ。
地下の駐車場に止めてあるシルバーメタリックの愛車に乗り込むとアクセルを吹かすと助手席に座った金髪碧眼の美少女に腰の砕けそうな甘い声で話しかけた。
「何処に行きたい?」
「あ、あの。5番街のミディール料理の美味しい店で…。」
「エウフロシュネか?」
「はい。」
「なかなかいい選択だな。」
セフィロスはかるくうなずくと車をミッドガル5番街へと走らせた。
やがて5番街に着くと近くの駐車場に車を預け、セフィロスはクラウドの腰を抱きレストランへと歩いて行く。道すがら通り過ぎる人々が憧れの眼差しを向けられるが、慣れているのか身じろぎもしない。
レストランの入り口をくぐると、ギャリソンが二人の顔を見て一瞬驚くが、すぐに普通の顔に戻りテーブルへと案内した。
先にテーブルについていた客の間から『セフィロスだ。』とか『クラウディアだわ。』とか、二人の名前を囁いているのがわかる。
クラウドはその囁きを聞いて自分が本当に、セフィロスの恋人としてまわりに認知されているのを実感していた。
うやうやしくギャルソンがメニューをもってやってくると、テーブルの横で一礼しメニューをセフィロスに渡すが、彼はクラウドにメニューを渡して決めさせようとした。
「お前が決めてくれ。」
「あ、えっと。アンティパストはアスパラガスと卵のオーブン焼きミラネーゼ。プリモ・ピアットはワタリガニのパスタ・トマトクリームソース。セコンド・ピアットは鶏のカッチャトーラ。ドルチェはマチェドニア・ジェラード添えでいかがでしょうか? 」
「ふむ、悪くはないな。」
注文を確認してギャルソンがバックヤードに戻ると、入れ代わりにソムリエが注文票を受け取りワインリストを持ってくる。
「サー・セフィロスはお車ですか?」
「ああ。」
「クラウディア様はお幾つになられましたか?」
「あ、あの16歳です。」
ソムリエが一瞬びっくりするがすぐにいつもの冷静さを取り戻す。
「そうですか、ではサーにはスプリッツアーをクラウディア様にはキティをご用意いたしましょうか?」
「そうだな、まかせる。」
「承知致しました」
ソムリエが恭しく一礼してさがるとバックヤードでオーダーを伝えながら、英雄と妖精の話をしはじめた
「サー・セフィロスとクラウディアが客として来てるけど、年齢聞いてびっくりしたぜ、クラウディア16歳だってよ!」
「え?!クラウディアってそんなに若いのかよ?!」
「へぇー?!だから婚約だけでまだ結婚されていないのか。」
「もしそうだとしたら、やはりサー・セフィロスの一目惚れという話しはあながち間違ってはいないんだな。」
「それにしても16歳でこのオーダーをする女性は何処にも居ないぞ。」
「何処のお嬢様なんでしょうね、本当に。」
バックヤードでの会話は料理の進行と共に少なくなって行った。
料理は評判通りすばらしい物だった。
シェフに礼を言いたいとクラウドがギャルソンに頼んだら、すぐにシェフが飛んで来てくれた。
「本日はお忙しい所をようこそ来て下さいましてありがとうございます。」
「とてもすばらしいお料理でしたわ。けれどどう言う事か解りませんがクリームソースの中のエメンタールチーズがチェダーチーズに変わってましたわね。どうしてそのような事をされたのですか?」
「おわかりになりましたか?先月からワタリガニの仕入先が変わって、少し味が変わってしまい、仕方がなくチーズを変えて味を調えました。すでに一ヶ月になりますがご指摘されたのはクラウディア様が初めてです。クラウディア様はよほどお料理がお好きで、しかもお上手のようですね。」
「え?」
「だいたいあのクリームソースの中にチーズを入れてあるのを見抜く舌の持ち主は、早々居ませんでしたが、チーズの種類まで見抜かれるとは恐れ入りました。ご自分でも作られないとわからない事だと思います。サー・セフィロス、クラウディア様はとてもよい奥様になられますでしょう。」
「そのような事は既に一緒にくらしているのだからわかっているつもりだが。」
「それは失礼いたしました。では、またのご利用を御待ちしています。」
シェフが一礼するとクラウディアとセフィロスが席を立った。
セフィロスがそっとクラウディアをエスコートすると、会計を済ませて店の外に出て、そのまま愛車に戻るとマンションへと戻った。
自室に戻るエレベーターの中でセフィロスはクラウドの腰を抱きながら、一人ほくそ笑んでいました。
(クックック、記憶が無いということはいいものだな。いつもなら絶対嫌がるような事でも『いつもしている』といえば、拙いながらもやってくれる。これは教える甲斐と言うものがありそうだ。そういえば、どこかにルーファウスがクラウドの誕生祝いによこしたメイドドレスが有ったはずだな。あのドレスを着せて…クックックック。) 完璧壊れたか?!英雄!!
自室の扉を開けるとドレッサーの奥にしまい込んである紙袋を取り出し、クラウドの方へ投げる。
クラウドが投げられた紙袋の中身をみてびっくりしたのでセフィロスがワザと冷たい目で見る。
「ん?なんだ、何をびっくりしている?」
「こ、これって?」
「なんだ、覚えていないのか?お前はよくそのドレスを着て私を誘惑した物なのだがな。」
クラウドは目を白黒させながら紙袋の中に入っていた服を取り出すと、その青い瞳に涙を浮かべながらセフィロスをにらみつけていた。
「サ、サー・セフィロス。本当に俺はそんな事していたのですか?」
「クックック…そうだ、その服を着て私を強請るお前は可愛いかったぞ。」
クラウドは泣きべそをかきながら、ルーファウスがやっかみ交じりで贈ったであろうメイドドレスを身にまとった。
ヘアバンドをして白いソックスとエナメルの靴をはくと、ソファーに座っているセフィロスの横に行き跪いた。
「あ…あの、どうすればよろしいのですか?」
「フン、記憶が無いから仕方がないか。その可愛らしい唇で私をその気にさせていた物を。」
さもつまらなそうな顔をして横を向いたので、クラウドは嫌われたくない一心で、ソファーに座るセフィロスの横に上がり込むと、おずおずと両手をセフィロスの首に回してキスをする。
日ごろはどんなに強請っても、クラウドから舌を差し込んでくるようなキスをもらったことなどそうそうないセフィロスは、それだけでたまらなくなってきているが、必死でその感情を押し殺して冷たい目でクラウドを見つめる。
クラウドはその冷たい視線を感じてびくっと身体を震わせた。
(こ、こんなんじゃダメなんだ。ど…どうすれば。さっきシャワーの時サーがしてくれたようにすればいいのかな?)
そう思うとクラウドは唇を頬から耳へ、そして首へと這わせて行った。
思いも寄らぬ行動にセフィロスの下半身がいきなり反応したが、しかし顔はまだ必死に冷静を保っていた。
クラウドの細い指がセフィロスのネクタイを取り払い、Yシャツのボタンを、もぞもぞと開けていくと首を滑らせていた唇が首元から鎖骨の当たりをさまよっている。
もう冷静でなんか居られなくなってきたセフィロスはクラウドを抱き上げて、自分をまたがせるようにして座らせるとそっとスカートのすその方から手をさし込み足をなではじめた
。
|